我この柵にありて退く者を。

朝起きて、歯を磨いて、コーヒーを飲んで

お気に入りのボディミルクに包まれて


あぁ、あの服は何処に行ったのだろう、今日も見付らない


古地図を右手に取りふらりと出かけ

あぁ、まだ青葉の季節なのに暑いなぁと独り言


そして、両手で頬を思い切り押さえ憧れのあの人の事など思い浮かべる

憧れのあの人は・・・いつも怒っていて


あぁ、怖いなぁ~嫌いだなぁ~などと・・・考える


缶コーヒーを左手に持って

身体が少し軽くなったら


部屋のアンテリナム・マユスは風に曝されて

頭を振っているのかなぁ、なども・・・考える


全て全て・・・思い浮かべて考える


張り裂けそうな情熱を


遣り切れない狂熱を


消える事のない忘我を


夜は否応無しにやって来て

根拠無く不安にさせる


だから、その時が来るまでは

誰も知らないこの街角で

心地良い風に包まれていよう