遠い日の薄い影。

浮き世は砂漠、柔肌はすでに風に掴まれて


寒い寒いと叫んでも君は紅い向日葵を手に


背を向けながら遠くの白雲たちに胸焦がす


無情な歌声が微かに聞こえれば瞳は目映く


耳をかせばもう君の姿は幻にもならぬ間に


歌声と共に記憶から消え去り宙に降り頻る

梅雨ですな。

我この柵にありて退く者を。

朝起きて、歯を磨いて、コーヒーを飲んで

お気に入りのボディミルクに包まれて


あぁ、あの服は何処に行ったのだろう、今日も見付らない


古地図を右手に取りふらりと出かけ

あぁ、まだ青葉の季節なのに暑いなぁと独り言


そして、両手で頬を思い切り押さえ憧れのあの人の事など思い浮かべる

憧れのあの人は・・・いつも怒っていて


あぁ、怖いなぁ~嫌いだなぁ~などと・・・考える


缶コーヒーを左手に持って

身体が少し軽くなったら


部屋のアンテリナム・マユスは風に曝されて

頭を振っているのかなぁ、なども・・・考える


全て全て・・・思い浮かべて考える


張り裂けそうな情熱を


遣り切れない狂熱を


消える事のない忘我を


夜は否応無しにやって来て

根拠無く不安にさせる


だから、その時が来るまでは

誰も知らないこの街角で

心地良い風に包まれていよう